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Return To Paradise


Sheriff、TonyとLewisの3人のアメリカ人達はマレーシアでの休暇で羽目を外していた。オランウータン保護活動に参加するLewisと別れ、SheriffとTonyはニューヨークへ帰国…現地で買った安い大麻を残したまま。
2年後。Sheriffはリムジン・ドライバー、Tonyは建築士として働いていた。ある日Sheriffの元へ弁護士と名乗るBethが現れる。彼女曰く、2年前2人の帰国後、彼等が壊してしまった貸し自転車が戻って来ない為店主が警察と共にコテージへやって来て、その際に彼等が残した大麻が摘発され、その量が100gを超えていた事からLewisは売人とみなされ逮捕されて、8日後に絞首刑が執行される、と。但し、SheriffとTonyがマレーシアに戻って罪を認めればLewisは死刑は免れ、2人が服役すれば3年(ずつ)、1人なら6年の刑期が待っているのだという。突然の申し出、しかも自分達が戻らなければLewisは絞首刑、彼を助けるには自分が服役するしかないという究極の選択を迫られた2人は苦悩する。
SheriffとTonyを説得する為Bethは働きかける。そんな中、この事件を嗅ぎ付けた新聞記者のM.J.が彼女に接近、記事にして世間に訴えるべきだと持ちかける。しかしBethはそんな事をしたら死刑執行が早まるだけだと突っぱねる。事実、欧米のマスメディアが騒いで解決した東南アジアでの事件はなく、Bethは審理が終了する迄記事にするのは待ってくれと頼む。
父親に相談するSheriffと、婚約者に止められるTony。SheriffとBethは惹かれ合い、結ばれる。結局彼等はLewisを助ける為Bethと共にマレーシアに戻った。Lewisに面会する為刑務所に向かったが、1日に1人しか面会出来ないという。Sheriffが1人で面会に向かい、いかにその状況が悲惨なものかを目の当たりにする。ホテルへの帰路の車中、Lewisや刑務所の様子をTonyがSheriffに尋ねる会話の中でBethはLewisが実弟であると告白。騙されたと思ったTonyは、Sheriffを説得し共に空港へ向かって、ニューヨーク行きのチケットを手配。飛行機に乗り込む時になって、Sheriffだけは残る事を決断する。
審理が始まった。途中Sheriffが加わり、彼が戻って有罪を認めた事が評価され、Lewisの減刑が検討される。Sheriffは刑確定迄刑務所に入る事に。しかし、休憩後事態は一転…「自国の法律を非難する欧米の一方的な言い分」であるM.J.の書いた記事を読んだ裁判長が激怒、Lewisの絞首刑は翌朝予定通りに執行される事が言い渡されてしまう。裁判所には欧米のメディアが殺到していた。
翌朝…Lewisの絞首刑は予定通り執行。Sheriffは、最後の瞬間迄独房の窓からLewisに向かって叫び続ける。そしてBethがSheriffの面会に訪れ、弟をアメリカに連れ帰り葬ったら、マレーシアに戻ってSheriffが出所する迄離れないと…非公式に確認した所によれば、彼の刑期が最大6ヶ月であると彼に伝えて。



欧米諸国や日本では、薬物所持というだけではせいぜい禁固数年、売人と認定されたとしても死刑になる事は有り得ません。「我々の」物の見方からすれば、たかが大麻所持で絞首刑になるなんて正気の沙汰ではないのですが、世界にはマレーシアの様に麻薬犯罪に対して極刑を下す所が少なくありません。「彼等の」物の見方だと、麻薬を根絶するにはそれ位しなくちゃならないという事なのでしょう。しかし、現実には彼等の国の中で麻薬は流通しており、海外にも輸出されています。「命懸け」でもやる人はやるのですから、死刑が抑止力になっていないのでは、という気がします。オランダの様に個人が少量のソフトドラッグを所持する事を認めるのが100%正しいとは言いません。しかし、命を差し出せというのは理解の範疇を超えています。宗教観、価値観の問題という事なのでしょうか。

それにしても、海外のメディアが非難した=内政干渉だから許せない、やっぱりお前は死刑だ、というのは裁判長としては如何なものかと思います。裁判官も人の子ですが、それでも起こった事実を公正に判断するのが法の番人としての務めであり、感情に流される事なく判断を下すべき。

自分達の物の見方が全て正しいと考えがちで、他の価値観を認めようとしない「我々の」姿勢も反省すべき所は大いにあります。メディアも騒げばいいというものではないし、何でも「報道の自由」を声高に叫ぶのも間違いです。少なくとも、過去同じ様な事例で結果どうなったのかを把握していたら、一方的に「この国が悪い」と相手国を非難する事が良い結果を生む筈がないのも十分分かるだろうに。麻薬所持・使用が悪である、というのは地球上の殆どの国の共通の認識であり、犯罪である事には違いないのだから、反省している、という点をまず強調しなくては。

海外へ行く際は、渡航先の情報をしっかり把握しておくべきだと改めて思いました(笑)!